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消防設備点検に必要な資格:消防設備士と消防設備点検資格者の違い
消防設備点検を頼めるのは消防設備士と消防設備点検資格者の2つの有資格者です。建物オーナー向けに、両者の違い、扱える設備の範囲、うちの点検は誰に頼めばよいか、無資格の点検が問題になるケースを整理します。
最終更新日: 2026-07-08
有資格者による点検が必要な建物では、点検を行えるのは 消防設備士 または 消防設備点検資格者 の2つの資格を持つ人に限られます(消防法施行令第36条第2項)。この記事は「うちのビルの点検は誰に頼めばいいのか」という建物オーナーの視点で、2つの資格の違いと、依頼先を選ぶときの注意点を整理します。前提として、そもそも有資格者に頼む必要があるかどうかは建物の規模で変わります。詳しくは消防設備点検は自分でできる?をご覧ください。
点検を頼める2つの資格
消防用設備等の点検を業務として行える資格は、大きく2つあります。どちらも消防法上は同じ立場で点検を行えますが、成り立ちと扱える設備の区分が異なります。
消防設備士(国家資格)
消防設備士は、消防用設備等の工事・整備・点検を行える国家資格です。試験は一般財団法人消防試験研究センターが実施しています。区分は次のとおりです。
- 甲種:工事・整備・点検ができる
- 乙種:整備・点検ができる(工事はできない)
さらに扱える設備ごとに「類」が分かれています。
| 区分 | 主に扱える消防用設備等 |
|---|---|
| 甲種特類 | 特殊消防用設備等 |
| 甲種第1類 | 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、屋外消火栓設備 ほか |
| 甲種第2類 | 泡消火設備 ほか |
| 甲種第3類 | 不活性ガス・ハロゲン化物・粉末消火設備 ほか |
| 甲種第4類 | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備 ほか |
| 甲種第5類 | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 |
| 乙種第6類 | 消火器 |
| 乙種第7類 | 漏電火災警報器 |
つまり1人の消防設備士が建物のすべての設備を点検できるとは限らず、対象設備に対応する類の資格が必要です。
消防設備点検資格者(講習資格)
消防設備点検資格者は、消防用設備等の 点検 を行うための資格で、一般財団法人日本消防設備安全センターが実施する講習を修了して得られます。工事はできず、点検が中心です。区分は次のとおりで、5年ごとに再講習を受けることが義務づけられています。
| 種別 | 主に点検できる消防用設備等 |
|---|---|
| 第1種 | 消火器、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、泡消火設備、不活性ガス・ハロゲン化物・粉末消火設備 など機械系統の設備 |
| 第2種 | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、避難器具、漏電火災警報器、非常警報設備、排煙設備 など電気系統の設備 |
| 特種 | 特殊消防用設備等 |
建物オーナーが押さえる違い
2つの資格を建物オーナーの視点で並べると、次のように整理できます。
| 観点 | 消防設備士 | 消防設備点検資格者 |
|---|---|---|
| 資格の性質 | 国家資格(試験) | 講習修了資格 |
| できる業務 | 工事・整備・点検(甲種)/整備・点検(乙種) | 点検 |
| 設備の区分 | 類別(第1類〜第7類、特類) | 第1種・第2種・特種 |
| 更新 | ─ | 5年ごとに再講習が義務 |
| 点検を行える立場 | 消防法施行令第36条第2項で認められる | 同左(同等) |
「うちの点検は誰に頼めばいい?」
1棟の建物には、消火器・自動火災報知設備・避難器具・スプリンクラーなど複数の設備が設置されているのが普通です。それぞれ対応する資格の区分が異なるため、実務では複数の区分をカバーできる技術者や点検業者に一括で委託するのが一般的です。依頼先を選ぶ際は、自社の建物に設置されている設備を点検できる資格の区分を持っているかを確認するとよいでしょう。設置されている設備は用途別ページ(例:飲食店、事務所ビル、共同住宅)でおおまかに確認できます。
無資格の点検が問題になるケース
有資格者による点検が必須の建物(延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物や特定一階段等防火対象物など)で、資格を持たない人が行った点検は、消防法が求める点検の要件を満たしません。結果として点検・報告が有効に行われていない状態になり得ます。依頼先が消防設備士または消防設備点検資格者であるかは、契約前に確認しておくと安心です。有資格者が必須かどうかの判定は建物の規模によるため、まずは自分の建物の区分を確かめましょう。
まとめ
- 点検を頼めるのは消防設備士か消防設備点検資格者の2資格
- 消防設備士は国家資格で類別、点検資格者は講習資格で第1種・第2種・特種
- 建物には複数設備があるため、対応区分をカバーする依頼先を選ぶ
- 有資格者が必須の建物では、資格の有無を契約前に確認する
建物の用途・面積を入力すると、有資格者点検の要否や設置設備の目安が分かります。消防設備点検 義務判定チェッカーでご確認ください。
出典
- 一般財団法人消防試験研究センター「消防設備士試験の種類」(取得日2026-07-08) https://www.shoubo-shiken.or.jp/shoubou/
- 一般財団法人日本消防設備安全センター「消防設備点検資格者」(取得日2026-07-08) https://www.fesc.or.jp/jukou/setsubi/
- 消防法施行令 第36条第2項(e-Gov法令検索、取得日2026-07-07) https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037/